胃がんの宣告

「——腫瘍は、悪性です。胃がんです。胃の全摘出手術が必要になります」
白衣を着た医師の口から発せられたその言葉は、私の頭の中に冷たく響き渡り、理解するまでに時間がかかりました。
「え……? 胃がん……全摘……?」

頭の中が真っ白になり、全身の血がスーッと引いていくのが分かりました。
「俺、死んじゃうの……?」
まだ若く、建築士のたまごとして夢中で駆け抜けていた自分が、なぜこんな命に関わる病気にならなければいけないのか。恐ろしさと不条理さに、体がガタガタと震えました。

非常にも先生からの説明は続きます。
動転する気持ちの中で、会話や状況はあまりはっきりとは覚えていませんでした。
■先生から説明 (※一部後日再説明の内容あり)
胃は全摘出に決まる
胃は切除し、小腸を食道に繋ぎ、十二指腸はふさいで小腸に繋ぐ
脾臓、胆嚢はケーバイケースで摘出
場合により輸血を行うこと(これが結構辛く感じた)
■説明の後、質問
Q 小腸は時間の経過で代用胃となるのでは?
A しかし機能は小腸です。
Q 小腸を加工し、胃の形に整形すれば違うと聞きましたが、
A その方法を望まれるの有れば、そのようにいたしますが、学会での正式な効果はきいておらず、手術内容が増え、癒着の危険は増えます。
その他は、ありきたりな内容。
あふれ出た涙と、彼女の言葉
病室に戻り、ずっと付き添ってくれていた彼女と二人きりになった瞬間、抑えていた感情の堤防が決壊しました。
「どうしよう……俺、がんだった……」
子供のように泣きじゃくる私を、彼女は責めることも動じることもなく、ただ優しく包み込むように寄り添ってくれました。

そして、私の目をまっすぐ見つめながら言ったのです。
これからの手術のこと、治療のこと、そして病気を乗り越えた先にある「ふたりの将来」のことを、一つひとつ前向きな言葉で語りかけてくれました。
「大丈夫。一人じゃないよ。絶対に治して、一緒にこれから先の未来を生きていこう」
でも、そういわれても、まだ幼い私はその衝撃に、良い未来は想像できなかった・・・・・

無理してこんな程度、、現実逃避した

絶望の暗闇の中にいた私に、彼女の存在と差し伸べられた手が、確かな光を差し込んでくれました。
腹をくくり、髪を切る
「泣いてばかりはいられない。この人のために、俺は絶対に生き残らなきゃいけない」
涙を拭い、私は深く腹をくくりました。
「病気に負けてたまるか」という気合を入れるため、これから始まる壮絶な戦いに向けて髪を短く切り落としました。
鏡に映るすっきりとした自分の顔を見て、少しだけ強い自分になれた気がしました。
迫り来る胃の全摘出手術。未知の恐怖に対する不安が完全に消えたわけではありません。それでも、大切な人の支えを胸に、私は病魔と戦う覚悟を決めて手術への第一歩を踏み出したのです。

(第4話「手術」へ続く)

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